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聖マリ抄読会第5回目”A Phase 2 Trial of Peresolimab for Adults with Rheumatoid Arthritis” 松村

お知らせ

当科では日々の臨床・研究レベルの向上のために抄読会を実施しています!

更新の頻度が落ちてしまいましたが、今回は新規作用薬であるperesolimabについて、当科若手の松村先生がまとめてくれました!御本人からのコメントです。

【Introduction】PD-1/PD-L1経路の阻害による抗腫瘍薬の有効性が示されている一方、免疫関連副作用の報告が聞かれている。関節リウマチでは滑膜のT細胞でPD-1発現が亢進している一方で、PD-L1との結合性が低下することが発症に寄与すると言われている。ヒト化IgG1モノクローナル抗体であるperesolimabはPD-1に結合・活性化することで免疫恒常性を回復することが想定される。

【Patients】2010ACR/EULAR分類基準に合致し、活動性滑膜炎が証明された18歳以上のRA患者。少なくとも1つのDMARDsで治療不十分であったことが条件だが、2種以上のbDMARDs/tsDMARDs使用例は除外されており、MTX・HCQ・少量PSLなどの併用可能。

【Intervention/Comparison】peresolimab 700mg 4週ごとi.v.:placebo:peresolomab 300mg 4週ごとi.v.=2:1:1

【Outcome】二重盲検化された12週後のDAS28-CRP変化量、ACR20/50/70改善率

【Results】中年女性が大半を占め、アジア人が含まれない罹患歴10年程度の98例。中等度~高度な疾患活動性が確認されていた中で、12週後にはperesolimab 700mg群がplasebo群に比して有意にDAS28-CRP変化量が大きかった。変化量については、CRPの変化に有意な差は見られず、腫脹圧痛関節数などで良好な結果が得られた。今回の介入による重篤な有害事象や死亡例は見られなかった。peresolomab 700mg群で14週目に低疾患活動性が維持されていた場合には、24週後まで治療継続することで低疾患活動性の維持が6割強で可能であった。

【Discussion】peresolimab 700mg投与でDAS28-CRP改善に寄与することが示され、bDMARDs/tsDMARDs治療歴の有無で層別化もなされたが群間での変化量に明らかな差は見られなかったことから、従来のbDMARDs/tsDMARDs不応例でも有効性を見積もることが出来る可能性が想定された。

【Limitation】サンプル数が少なく試験期間も短いため、悪性腫瘍リスク等の安全性での追加検討が必要であり、有効性についても更なる試験が求められる。

【感想/臨床への応用】免疫チェックポイント阻害薬が知られるようになってきているが、それとは逆にPD-1/PD-L1経路を活性化することでRA治療に有効性が示されているのが興味深い。悪性腫瘍等の有害事象が長期的な試験でどの程度見られるのか等、追加検討が求められる。

【抄読会でのコメント】

・PD-1/PD-L1経路を活性化して、抑制シグナルを亢進させるか。 →peresolimabはPD-1受容体作動薬であり、抑制シグナルの活性化に結びつくこととなる。

・併用薬剤でのサブグループ解析などはあるか。 →本文中や追加資料に記載なし。

・有害事象としての感染症のリスクなどはどの程度であったか。 →placebo群も含めて同等の発生率であり、重度な感染症は見られなかった。

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